創薬系バイオベンチャーのビジネスチャンスは着実に広がっている

最近個人的には、バイオベンチャーに、すこしづつ追い風が吹いている気がしています。資金調達面では相変わらずの逆風ですが、そんな中でも各社の努力が実を結び、事業自体は確実に進捗しているようです。先日、北海道大学ベンチャーのイーベックが5500万ユーロ(約70億円)のディールに成功したことは記憶に新しいですし、アンジェスのコラテジェンも申請段階に入っています。成果が出始めていると思います。


実際、私のところに入ってくるバイオ案件も、結構開発が進んでいる物が多いです。ただ、バイオはどうしても投資額が大きくなるので、独立系VC1社でできることには限界があって、他VCの動向を見ざるを得ないところがあります。他VCは、先のエントリーでも触れたように消極的な姿勢に終始していますので、断念せざるを得ないのがとても残念です。既に上場しているバイオベンチャーの業績が上向いてくれば、投資家のバイオに対する評価も好転し、流れが変わってくるのではないかと思います。実際ここ最近、バイオの株価は上向くような素振りを見せはじめていますね。今度こそ、本当に底打ちだと良いのですが・・・(笑)




バイオベンチャーへの追い風に関しては、大和総研からも下記のようなレポートが出されていました。
「バイオベンチャーのビジネスチャンス」
http://www.dir.co.jp/souken/research/report/emg-inc/biz-model/08110401biz-model.html

◆大手製薬企業の大型医薬品の特許切れが2010年〜2012年にかけて集中し、医薬品市場の伸び率が鈍化すると見られている。

◆製品の特許切れに伴う収益減少を補完するためには新たな大型医薬品の開発が必要となるが、近年の臨床試験の厳格化等により、開発サイクルは長期化し、新薬の承認取得数は減少傾向にある。

◆そうした状況の中、国内外の大手製薬企業は、高品質な医薬候補品を有する創薬系バイオ企業との提携や買収を行うことで、医薬候補品の拡充・充実や、研究開発の生産性向上を図ろうとしている。

◆有望な医薬候補品や創薬技術を有するバイオ企業には、大手製薬企業から熱い視線が集まっている。提携や買収案件は年々増加しており、需要の拡大により取引金額も大型化している。創薬系バイオベンチャーのビジネスチャンスは着実に広がっている。


今年春に出た新光証券のレポートもなかなか面白いです。
「世界の中における日本バイオの現況」
http://www.ikegin-c.jp/pdf/frm080421.pdf


そういえば、昨年、今年とメガファーマが日本の研究所を相次いで閉鎖していますよね。グラクソスミスクライン、ノバルティス、ファイザー、バイエル、萬有製薬(メルク)。そこからの人材流出もバイオベンチャーにとっては追い風と言えます。そのためには、VCとしては、今こそ資金を提供してあげたいところなんですが・・・