産学連携はどの技術分野で有効か


よくレポートや記事を読んでいると、「日本の産業力を向上させるために、産学連携を加速すべし」といった論調をみかけることがあります。私はこの意見には、総論賛成ですが各論反対という感じです。以前、大学で仕事していた関係から、産学連携には「取り扱い注意」な面がたくさんあると思っています。産学連携に向いている技術分野と、そうでない技術分野があるというのも、その一つです。下記レポートに参考になる話がありましたので、紹介します。


産学公連携は万能薬か:RIETI 経済産業研究所
http://www.rieti.go.jp/jp/papers/journal/0806/rr01.html


この中に、産学連携で生まれた特許数のトップ10分野が掲載されています。
先頭の記号は、国際特許分類(IPC)のサブクラスです。


1)C12N:微生物または酵素;その組成物;微生物の増殖、保存、維持;突然変異または遺伝子工学;培地
2)G01N:材料の化学的または物理的性質の決定による材料の調査または分析
3)H01L:半導体装置、他に属さない電気的固定装置
4)B01J:化学的または物理的方法;それらの関連装置
5)C07C:非環式化合物または炭素環式化合物
6)C04B:石灰;マグネシア;スラグ;セメント;その組成物;人造石;セラミックス;耐火物;天然石の処理
7)A61K:医薬用、歯科用又は化粧用製剤
8)C23C:金属質への被覆;金属材料による材料への被覆;表面への拡散、化学的変換または置換による、金属材料の表面処理;真空蒸着、スパッタリング、イオン注入法、または化学蒸着による被覆一般
9)C02F:水、廃水、下水または汚泥の処理
10)E02D:基礎、根切り;築堤;地下または水中の構造物


もちろん、技術分野によって特許戦略も異なるし、一つの特許の重みも異なりますので、いちがいに特許数だけで比較はできませんが、産学連携に向き不向きの技術分野があるという目で見ていると面白いと思います。