7月8日の情報収集

今日得た情報の備忘録・メモです。


■レポート・刊行物より
・世界標準の地位を得た国際会計基準野村証券
http://www.nomura.co.jp/market/report/zaikai/pdf/2008070701_2.pdf
世界の主要な会計基準には、国際会計基準(IFSR)、米国会計基準、日本会計基準の3つがある。
2008年4月のEU判断により、IFSRが世界標準の地位を得た。日本会計基準も2011年までに、IFSRに収斂。その後、IFSRが適用される時代が来るだろう。のれん代償却、棚卸資産の評価法などが変わる。


・四半期報告制度開始に伴う上場直前期及び上場申請期に係る影響:あずさ監査法人
http://www.azsa.or.jp/b_info/ipo/200807/ipo_200807_01.html
上場会社に四半期報告が義務付けられたことにより、上場申請会社の提出書類も、中間期から四半期に置き換えられる。しかし、現状、平成20年4月1日以後に開始する事業年度が上場申請期となる場合、上場申請会社は、第2四半期に関して、中間財務諸表と四半期財務諸表の2種類の作成が必要とされる。また、これらは監査法人等による中間監査報告書と四半期レビュー報告書の添付がそれぞれ必要。


・医薬品ベンチャーによる国内未承認薬の臨床開発:大和総研
http://www.dir.co.jp/research/report/biz-model/08070701biz-model.html
<要約>
国内未承認の希少疾病用治療薬を海外から導入するビジネスは、ベンチャーのビジネスモデルとして有望。1つ1つの利益は小規模だが、開発スピードと成功確率を高め、収益機会を増やすことにより克服可能だろう。
<感想>
このビジネスモデルは、このご時世、自己資金のないベンチャーには無理だと思うのだが、どういう企業を想定しているのだろう?アンジェスとノーベルファーマの例が上がっていたが、他に治験費用を負担できる企業は少ないと思う。


長時間労働からの脱出を考える:経済産業研究所
http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/08061601.html
RIETIでの、勝間和代氏の講演録。女性の社会進出を増やせば、少子化は解決する。日本の生産性は米国の約7割。輸出産業の生産性は米国と同等だが、国内産業では平均40%程度にまで落ち込む。この二重性が解消しない限り長時間労働からの脱出は不可能。



7月7日の情報収集


今日得た情報の備忘録・メモです。


■今日の新聞より
国交省、下水汚泥からリン回収
10〜15億円で施設建設し、輸入価格と同等で販売。
現在のリン輸入量は約44万トン/年、汚泥に含まれるリンは6万トン/年。


ベトナム輸入関税上げ
車、化粧品、携帯電話、輸入抑制に本腰。
国家中央銀行は金輸入を凍結、個人資産の金転換急増で。


・インド輸出統制を拡大、インフレ対策。
トウモロコシ、麦、米、食用油の輸出禁止。鋼板母材の圧延コイルも輸出抑制へ。
国内インフレ対策だが、国際価格に影響懸念。


・中国版SOX法、来年7月施行
内部統制報告書の提出義務付け。
上場企業が対象。


・ゲーム大手、アジア開拓本格化
現地専用ソフト開発、クリエーター育成等。
2006年アジア市場500億円弱


穀物高騰で国産コメ利用に脚光
輸入穀物の価格高騰で、国産米をパンや麺の原料、畜産飼料に利用加速。2008年6月のトン当たり価格は以下。
国産米:主食用24万円、米菓・清酒用16万円、米粉パン用8万円、家畜飼料用4万円、バイオエタノール用2万円
輸入穀物:米13万円、小麦7万円、トウモロコシ3万円


■レポート・刊行物より
・中国におけるWeb2.0の発展とビジネスへのインパクト:富士通総研
http://jp.fujitsu.com/group/fri/report/economic-review/200807/page8.html
ネットユーザー数 2.1億人(2007年12月)←米国2.11億人につぐ2位
ブロードバンド利用数 1.63億人(2007年12月)
携帯ネット利用 5040万人(2007年12月)
ブロガー数 4700万人(2007年11月)
SNSユーザー数 6100万人(2006年末)←米国5900万人を抜きトップ


・中国直接投資の受入策の構造変化
http://www.dbj.go.jp/japanese/download/pdf/indicate/no123.pdf
対中直接投資は、ローテクからハイテクへ、輸出向けから国内市場向けへ、省エネ環境重視、サービス業の強化へと変化している。それは、中国政府の外貨導入方針にもよる。下記参照。
外資審査基準における産業分野別の主な禁止・制限・奨励状況(抜粋)」
<禁止>
レアメタルレアアース、放射性鉱物、遺伝子関連、中国固有品種の農畜水産業漢方薬、小型石炭火力発電、社会・国土調査、マスコミ・メディア、郵政など、ギャンブルなど、基礎教育、軍事関連
<制限>
貴金属鉱物、金融、不動産開発、食糧・資源販売など、市場調査など、運輸・通信、電力・ガス・水道網、バイオ燃料など、娯楽施設、高等教育・医療機関
<奨励>
省エネ・環境技術、エネルギー、高効率・新技術資源開発、自動車、航空機、鉄道運輸設備、建設機械、工作機械
高度な電気機械、新薬開発、ビジネス関連サービス、物流、交通・都市インフラ建設、高度な農畜水産業、大学教育など


■WEB・ブログより
・米GM、現預金が激減:NBonline
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080630/164080/
GM、当初の仮説崩れ、黒転困難。ピックアップトラック急減も追い打ち。現預金は急減中で240億ドル。遅かれ早かれ、資金手当て必要に。


・底知れぬ住宅不況:NBonline
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080704/164534/
「住宅価格急落→差し押さえ増→投げ売り→さらに急落」の悪循環、アリゾナ州カリフォルニア州フロリダ州ネバダ州で進行中。差し押さえ増が、銀行破綻・貸し渋り増をさらに引き起こす懸念あり。


・NZ、早くも景気後退入り?:NBonline
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080630/164081/
米国より先に不況入り確実。GDP2四半期連続マイナス成長。
金利低下見通し→円キャリートレード魅力減→為替下落

化粧品業界の状況

投資先のバイオベンチャーから、創薬の副産物で、化粧品原料が出てくる時があります(日銭稼ぎの意味も)。そのような原料の製品化を支援する際の、備忘録です。


通常、化粧品は、販売促進費が売上の半分以上を占め、製造原価は数%となっています。一般的に、化粧品のような製品は、効果が高ければ、価格を高くできるのではないかと思われますが、やはり価格にはマーケティング的な制約があり、どんなに効果が高い新規原料でも、コスト的に見合わないと、製品化できないようです。現在、化粧品業界は、競争激化しており、既存の化粧品メーカーは、高価な原料は使いづらい状況になりつつあるようです。新規参入企業であれば、そのような原料を使う可能性はあるかもしれません。


以下、新規参入企業に関する記事を引用。


・機能性を追及した「他業種コスメ」というカテゴリーが誕生:ISGR Weekly
http://db.isgr.co.jp/view/20080707/index.html


化粧品業界への、他業種からの参入企業が増加している。
他業種からの参入組は、受託製造、OEM企業の良いお客さんとなる。
既存化粧品メーカーとは、異なった発想を持ち、化粧品業界を活性化させるだろう。


<他業種からの参入企業例>
食品から:ヤクルト、味の素、メルシャン
酒造から:日本盛、福光屋、沢の鶴、月桂冠、黄桜、白鶴
製薬から:マルホ、全薬工業キョーリン佐藤製薬興和大塚製薬第一三共大正製薬小林製薬エスエス製薬
素材から:赤穂化成、ホソカワミクロン、富士フイルム

情報セキュリティビジネスで伸びるのはどこか

次世代の情報セキュリティ政策に関する研究会報告書:総務省
http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/pdf/080703_5_bt1.pdf


近い将来のICT環境において、どんな情報セキュリティ上の課題が発生するか、上記報告書中にまとめられていました。逆に考えると、このような課題を解決するビジネスは、伸びるのではないでしょうか。


■今後の情報セキュリティに関する主な課題
1)ボットに感染したPC を踏み台にしたスパムメールの送信やDDoS攻撃、情報漏えいといった様々なインシデントが今後も継続して発生する。また、Web感染型やソーシャルエンジニアリングを駆使したマルウェア感染手法等、今後も悪意をもった攻撃者によるマルウェアの感染手法等が巧妙化、高度化し、国内外を通じて引き続きICT環境における最大の情報セキュリティ脅威となる。


2)ICT の高度化、サービス内容の多様化、ICT利活用領域の拡大等により、ネットワークに接続される情報通信機器数・端末数、利用者数が爆発的に増大することとなる。このように、これまで以上に多くの関係者が複雑に絡み合って形成される情報通信社会においては、各情報セキュリティ対策実施主体の責任範囲の不明確化によって情報セキュリティ対策に遅れが生じ、脅威が増大する。加えて、重要インフラをはじめとした社会基盤におけるICT依存が進展し、設定ミス等による非意図的な要因によって引き起こされる障害においてもその影響の範囲が広域化する可能性がある。また、システム・サービスの可用性、継続利用性に対する要求から、迅速に対策を実施することが困難なケースが増えることも予想される。


3)上記2と関連して、ネットワークを流通する企業及び個人に関する情報の種類及び量が著しく増加するととともに、情報通信機器・端末の高機能化により、例えば、これまで以上に携帯端末側に個人情報等が保存される可能性があるなど、情報資産を保持・管理する方法や場所の多様性が増すこととなり、情報セキュリティ対策が困難になる。


4)サービスの多様化、ICT 利活用領域の拡大等によって利用者層も広がることとなり、今後は、これまで以上に必ずしも情報セキュリティ対策についての意識が高いとは言えない、いわゆる「永遠のビギナー」によるICTサービスの利用が増加していくこととなる。この場合、永遠のビギナーが悪意の第三者からの最大の標的とされる可能性が高いほか、適切な情報セキュリティ対策を行わない永遠のビギナーがボット等のマルウェアに感染することにより、自らが被害者となるだけではなく、本人が気付かないうちに他人に被害を及ぼす加害者となることから、一部の者のみが高度な情報セキュリティ対策を講じても、我が国の全体としての情報セキュリティ向上には繋がらないという状況に陥ることとなる。


5)さらに、ネットワークに繋がる情報通信機器・端末のOS、アプリケーションの共通化・寡占による単一仕様化によって1つの脆弱性が及ぼす影響範囲が拡大する可能性や、スマートフォンに代表されるように複数の通信経路を持つ場合のマルウェア拡散が複雑化・広域化する可能性があるほか、新しい技術を導入することによってこれまで想定し得なかった脅威が発生する可能性等が増大することとなる。

7月4日の情報収集

今日得た情報の備忘録・メモです。


■レポート・刊行物より
・「構造変化と日本経済」専門調査会報告:経済財政諮問会議
http://www.keizai-shimon.go.jp/special/economy/index.html
平成版前川リポート。世界の変化と日本の位置づけ、目指すべき方向性について。非常にまとまった良い文章だと思いました。ビジョンも明確です。政治の強いイニシアティブでこれが実現することを期待します。


・中東諸国の経済動向と将来展望:中東情勢分析
http://www.jccme.or.jp/japanese/11/pdf/11-01/11-01-39.pdf
石油好調も、歳入額の増大により、為替レートが影響を受ける。これにより、非石油部門の産業が衰退の危機。さらにGCC加盟国は、2010年目標の通貨統合に向け、各国産業の保護政策融和をせざるをえない状況で、非石油産業には試練となる。


■WEB・ブログより
・旧ファイザー中央研究所、ラクオリア製薬として再スタート
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=193411&lindID=4
従業員70名、出資予定社:NIF、コラーキャピタル、ファイザー


・急増する「太陽光発電ベンチャー」:NBonline
http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20080630/164059/
日本では、セル市場にベンチャー企業が少ない。「新方式によるセルベンチャーの米国、製造装置ベンチャーの日本」。ベンチャーでは、球状シリコン方式のクリーンベンチャー21や京セミ、色素増感方式の桐蔭横浜大学発のペクセル・テクノロジーズなどが健闘。

VC業界に暗雲が立ち込めています。

米VC業界は、2007年に群雄割拠状態から、寡占化に向って変化しました。2008年は、出口が詰まってきて、苦しい状況のようです。日本も出口が詰まっており、先が懸念されます。単なる循環なら良いのですが、時代変化の予兆だとすると、VC業界が成り立たなくなる可能性もあると思います。新しいビジネスモデルを考えておく必要もあるのではないでしょうか。


■米ベンチャー新規上場、4―6月は30年ぶりゼロ 景気減速響く:NIKKEI
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080702AT2M0202D02072008.html
・4−6月期のIPOが米でゼロ、1−6月期でも5社のみ。
・4−6月期のIPO、日本でも3社のみ。


ベンチャー投資の「危機」 :TechCrunch Japanese
http://jp.techcrunch.com/archives/20080701the-crisis-in-venture-capital/
・米国、4−6月期はIPOゼロ
・1−6月期はIPO5件、調達総額$283M(前年43件、$6.3B)。
・MAも低下、1−6月期120件、買収総額$6B(前年169件、$8.5B)。
IPO危機的状況の理由は、「投資家心理の悪化」「信用縮小」「SOX法


■淘汰の進む米VC業界:シリコンバレーの日々
http://vc.typepad.jp/weblog/2008/06/vc-88a5.html
・米国VCのうち、アクティブに活動するVC数が減ってきた。
・VC844社中、224社が2007年に新たな投資先への投資を行っていない。
・2000年当時に比べると、アクティブなVCは半減。
・弱者が淘汰され、強者に資金が集まる傾向あり。

ベンチャーキャピタルからの資本調達方法2

磯崎哲也さん池田信夫さんのやりとりが盛り上がっていますね。


投資と融資の違いうんぬんは、さておき、
日本において、VCからの資金は十分かという話が印象に残りました。


isologue - by 磯崎哲也事務所: 「ベンチャー企業」のための資金調達入門
http://www.tez.com/blog/archives/001189.html

一方、前述の通り、「投資」を受けている企業は(VC本体投資とファンドが完全に重複しているとして少なめに見積もっても)8000社程度もあるわけで、それらの会社に1社平均1億円ものお金が流れているわけです。


うちの場合は、30社強に投資し1社あたり3千万円〜5億円の投資をしています。平均値は磯崎氏ご指摘の通りざっと1億円程度ですね。ただ、通常ベンチャー企業は複数のVCから資金調達していますので、ベンチャー企業1社当たりの調達総額はその数倍以上と思います。上記の8000社という数字にも、かなりの重複が入っているかもしれません。「VCからの資金調達は難しい」という印象が強いので、1社1億円という数字は意外に感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、VCは魅力的なベンチャー企業なら土下座してでも投資したいものです。投資を受けられないというのは、「事業計画に魅力が無いor実現性が不十分」ということだと思います。


VCと言っても一概に言えず、銀行系、政府系、事業会社系、独立系など、それぞれのバックグラウンドで投資性向は異なるようです。重箱の隅をつつくようなチェックをしてくる所もあれば、割と大胆にリスクテイクしてくる所もあります。また、ファンド設立時期やファンド残高によって、出したくても出せないことがありますので、タイミングが悪いと「VCは渋いなあ」という印象を受けることもあると思います。多くのVCは横並び意識が強いので、どこかが投資に踏み切ると、うちもうちも、という感じで他が続きます。また、資金繰りを気にして、他から○億円の調達見込みがつけばうちも出すという条件をつけてくるVCもいます。


日本ではリスクを取りたがらないVCが多く、アーリーステージへの投資はなかなか集まりません。ここが「VCからの資金調達は難しい」と言われるゆえんと思います。まずは、3F(founder, famili, friend)の資金で立ち上げて、エンジェルから資金を集め、公的資金もうまく使いながら(あまり依存すると抜け出せないですが)、製品開発にメドをつけ、事業計画の実現性を高めてからVCにアピールすると成功確率は高くなると思います。王道すぎてつまらない答えですが。